クリスマスシーズンに食べる定番・伝統のお菓子といえば、パネットーネかパンドーロか、人気を二分する二大クリスマスお菓子。
クリスマスが近づいてくると、お菓子屋さんの店頭やスーパーマーケットに並ぶ大きな箱。1kgサイズが定番のパネットーネは、小麦粉・砂糖・卵・バター・レーズン・オレンジやシトロンの砂糖漬けをつかった焼き菓子(ケーキ)です。
クリスマスの日に開けて、食べるものだという人もいれば、出回り始める12月初めころから(最近ではすでに11月から店に並んでいますが)クリスマスに向けて、この大きなケーキを少しずつ切り分けて朝ごはんやおやつ、食後のデザートとして食べたりします。
”オリジナル”とされる、レーズン・オレンジ・シトロン砂糖漬けを使ったものから、フルーツ一切使用せず、チョコレートチップやクリームを入れたり、バリエーション多様な味わいを売りにするお菓子屋さんまで、本当にたくさんのタイプがあります。
ラム酒・洋ナシ 入りパネットーネ
私の今年のセレクトは、フィレンツェから車で約1時間(!)のところにある人気店【Fratelli Rigacci】フラテッリ リガッチの、【ラム酒と洋ナシ】味! なんと26種もの、こだわりありすぎバリエーションの中から決めました。
袋を開けると漂う豊かで芳しいラム酒の香り。すごーくいい匂いです。 そして、めっちゃ 美味しすぎです たっぷりしみ込んでいるラム酒シロップが、ほどよくジュワーっとします。これだけの香りとしみ込み具合なのに、不思議とアルコール分は感じません。(私だけ?!)しっとりごろっと入っている、洋ナシの砂糖漬けも、お店で手作りしているだけあって、本当に美味しい。
…選び抜いた果物を砂糖漬けにする、という昔ながらの(”果物の砂糖漬け”は古代から存在するお菓子づくりの技法だそうです。)手のかかる行程をも自分たちで手掛けるという、そのこだわりは確かに味とクオリティに現れています。
それにしても、これがクリスマスケーキ(!?)と驚く地味な見た目・・・ キノコ?? こういう形の別のお料理あるよね・・(中身がシチューみたいな・・?)という感じですが、でも、美味しすぎるんです!!! イタリアのお菓子は見た目が素朴で手作り感がいっぱいなものが多いです。本当に、見た目より中身、見た目より味!!
美味しすぎて一人で食べきってしまう危険を感じて、切り分けて友人宅に持ち込みリスク回避しました。
ちなみに去年は、友人イチオシだった【グラッパとビターチョコレート】味を選びました。アルコール度数30-40度の蒸留酒グラッパの芳香と、アクセントのビターチョコレートが絶妙で、やっぱり最高に美味しかったです。
パネットーネ(スタンダード)
レーズンたっぷり、オレンジとシトロン砂糖漬けが入った、スタンダードタイプのパネットーネをいただきました。
小児がんの治療・研究・入院中の子供と家族を支えるトンマジーノ財団 Fondazione Tommasino Bacciotti が販売していて、北イタリア・ピエモンテのお菓子メーカー Maina マイーナのものです。
本当にレーズンたっぷりで、フルーティ。食べごたえあります。オーブントースターで表面カリッと焦げ目がつくくらいに焼いても美味しいです。ジェラートを添えて、などいろいろな食べ方があります。
変わったもの・珍しいものを試すのが好きな私は、【ラム酒 洋ナシ】味を堪能してから、そしてスタンダード味も…..やっぱり安定のおいしさです!!!
パネットーネの元祖とは?
北イタリア・ミラノ生まれのパネットーネ。語り継がれる誕生秘話は伝説入り交ざって諸説あります。
1.イタリア語でPanettone パネットーネ、Paneはパン、Panetto もパンもしくは味つきパン(菓子パン)、語尾に -one がつくと大きいという意味になります。イタリアで食卓に欠かせないパンは、日本では白いごはんの位置づけです。昔むかし、中世の時代は 小麦をつかった白いパンは王侯貴族など身分の高い人々のもの、庶民のパンは雑穀を使ったものと決められていました。クリスマスの日だけは、町のパン屋さんがすべての人に小麦を使ったパンを作ってふるまうことが許されていて、クリスマスだけの特別な、砂糖やバター、卵を使った贅沢なパン=大きなパン・特別なパンという意味での”Panettone” が始まりだという説。
2. 1495年ミラノ公爵スフォルツァ家のルドヴィコ・イル・モーロのクリスマス大晩餐会でのこと。デザートのケーキを焦がしてしまい、困り果てたシェフ。見習いコックのToniトニーが、残ったパン生地にレーズン・シトロン・バター・卵をまぜてとっておいたものがある、と申し出ます。仕方なく、それを焼いて出したところ・・・なんと公爵にも招待客にも大好評!そこで、トニーのパン Pan del Toni =パンデルトニ →→ パネットーネ という名前になったという説。
3.ミラノ公爵家の鷹匠Ulivoウリーヴォは、パン屋のToniトニーの娘と恋に落ち、身分を隠してパン屋に弟子入りしました。そこで店の経営を助けようと考えたのが、バター・卵・はちみつ・レーズンを混ぜ込んだ贅沢なパン。すぐに人気商品となって店の売り上げに大きく貢献したことから、二人の結婚は許されました。パン屋トニーのパンという意味での Pan del Toni パンデルトニ が Panettone パネットーネと呼ばれるようになったという説。
いずれにしても、材料は小麦粉・バター・卵・砂糖・レーズン・シトロンピール など。ミラノで作られたことは確かで、実際に公式記録で1500年代半ばから、ミラノ地方のお菓子のレシピとして記載が見られます。1800年代までは、現代のパネットーネとは違い、フォカッチャのような平べったいパン状でした。
現代のような高さとボリュームになったのは1900年代前半、ミラノの大手お菓子メーカーMotta モッタが製造・イタリア全土に流通させるようになってからで、ほどなくイタリアを代表するクリスマス菓子となりました。
このごろでは、日本でもパン屋さんやお菓子屋さんでの取り扱いが増えて、知名度があがってきたみたいですね。
来年は、何味にしよう~と今から楽しみに考えたりしつつ、ちょっと、自分で作ってみようかな~と思い始めました。
それにしても、今年はいつにもまして、時が過ぎるのが速い!クリスマスまであっという間です!!
☟スーパーマーケットの パネットーネ / パンドーロ コーナー。どれにする??
☟お菓子屋さんのショーウィンドウには、デコレーションされた パンドーロ(左)・パネットーネ(右)も
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