12月に入ると、クリスマスに向けてイルミネーションが灯り、町の広場やショッピングセンターには大きなクリスマスツリーが立ち、ショーウィンドウもクリスマスカラーで飾られて、盛り上がりますね。家庭でも、ツリーを出したり、玄関飾りやイルミネーションにこだわったりと、日に日に暗く、寒さが増してくる冬の日々、1年の終わりの忙しさの中にも、楽しみいっぱいの特別な季節。
クリスマス飾りといえば、イルミネーションとツリーはすぐに思い浮かびますが、イタリアの大事な伝統に【Presepio プレゼピオ】もしくは【Presepe プレゼーペ】と呼ばれる飾りがあります。
12月25日・旅の途中で家畜小屋で生まれた、というイエス・キリストの誕生シーンを再現したもので、母マリア 父ヨセフ 赤ちゃんのキリスト 見守る天使たち ロバや牛 お見舞い(礼拝)に訪れる羊飼いたち、贈り物を手に礼拝に訪れる3人の天文博士 などがメインキャストです。

各都市の大聖堂内、教会内外、町の広場、家庭内にて大小さまざまなものが設置されます。家庭用やショーウィンドウにみられる卓上セットくらいのものから、等身大人形までさまざまです。 シンプルなセットでは、素朴な小屋にマリア・ヨセフ・ロバや牛・新生児を寝かせる飼い葉おけが置かれて、12月25日のキリスト誕生が待たれます。25日になると、赤ちゃんのキリスト人形が置かれます。(生まれる日まで、赤ちゃんのキリストの居場所はからっぽです。)
小さな町チーゴリのすごい【プレゼーペ】
フィレンツェから約40km、車で40分のところにある小さな町チーゴリの小さな教会・サン ジョヴァンニ バッティスタ教会には、約100㎡の室内にエルサレム・キリストが生まれたベツレヘム周辺地域の当時の人々の生活風景までもリアルに再現した、ものすごいプレゼーペがあります。
ごつごつした岩山、遊牧民やらくだを連れて砂漠を旅する隊商、オアシスの周りにテントを張って休む人々、賑わう町の市場、庶民の生活・農民や職人の作業風景と、本当に細かいところまで手の込んだ細工と人々の動きに目を見張ります。どこがどうなっているのか、何が起きているのか隅々までずーっと見ていて飽きません。


照明効果で一日の時間の経過を演出し、家畜の鳴き声や人間の生活音まで聞こえてきます。(動画を視聴され、びっくりされた方!?)さらに、岩山と町の間をぬって勢いよく本当に水が流れていて、その川はヨルダン川!

と、行ったこともなくあまり想像もつかなかった、エルサレムやその周辺地域(現パレスチナ)とはこのような地理・土地柄なのか・・・と思いを馳せます。
スペクタクルなジオラマの展開に引き込まれつつ順路を進み、クライマックスにはやはり! そうです最後に、イエス・キリスト誕生の場が設定されています。動画をご覧いただくと、最後にたどりついた岩屋は明るく照らされ、母マリア、父ヨセフ、二人のあいだに藁がしかれた小さな寝床があります。 人類を救う 救世主の生まれはあえてこんなにも素朴です。信仰という人々の精神・行い・心を導く希望は、何もない無垢なところから始まるのですね。
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